半年分を一気にまとめると長くなっちゃって大変なので、もうすこし細かく区切ってみることにしました。
今回は2020年1月に公開された中で見ることのできた映画を紹介します。
- 『フォードvsフェラーリ』(Ford v Ferrari)
- 『ダウントン・アビー』(Downton Abbey)
- 『マザーレス・ブルックリン』(Motherless Brooklyn)
- 『パラサイト 半地下の家族』
- 『ジョジョ・ラビット』(Jojo Rabbit)
- 『劇場版 ハイスクール・フリート』
- 『ペット・セメタリー』(Pet Sematary)
- 『リチャード・ジュエル』(Richard Jewell)
- 『キャッツ』(Cats)
- 『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(Knives Out)
『フォードvsフェラーリ』(Ford v Ferrari)
ル・マン24時間レースの覇者フェラーリを相手に、フォードが無謀な対決を挑む!
壮大な企業戦争に巻き込まれたふたりのレーサーの戦いの物語。
マット・デイモンとクリスチャン・ベイルのW主演ときたらもう見るしかない。
ふたりが衝突したり協力したりしながら友情を強めていく過程は魅力的だし、レースシーンも期待どおり迫力満点で盛り上がったけど、それ以上に「企業」の描きかたがこの映画の見どころだと感じた。
主人公たちはフォード側に付いているのでフェラーリは倒すべき敵として描かれるわけだが、その裏にはレーサーたちのプライドはまったく無関係な企業同士のエゴが絡んでくる。敵味方で一筋縄にはくくれない微妙な関係性が難しく、また面白い。
耐久レースというもの自体もあまりよく知らなかった(というか『カーズ』でしか見たことなかった)ので、独特のルールや文化を知ることができたのも楽しかった。
やっぱりマット・デイモンが取り残される映画は名作なんですよね。
評価:7/10
『ダウントン・アビー』(Downton Abbey)
英国貴族社会を描いた人気ドラマ『ダウントン・アビー』がスクリーンの世界へ。
映画化すると聞いたときからものすごく楽しみにしてたんだけど、正直映画館で見られるとは期待してなかったので嬉しかった。
劇場版だからといって劇的なイベントが起こるわけではなく(国王夫妻は登場するけど)、良くも悪くもいつもどおり、ドラマ版の雰囲気を大切にしている。
マギー・スミスは出演しないなんて話もあったものの、最終的にはいつものメンバーが揃ってくれて本当に良かった。ストーリーがどうこうというよりも、彼らの世界の続きを見ることができたということ自体が本当にありがたい。
いままで周りで『ダウントン・アビー』見てる人ひとりもいないから寂しかったんだけど、劇場に来てるお客さんたち見て自分以外にもこのドラマ好きな人たくさんいるんだなってちょっと嬉しい気持ちになった。
評価:8/10
『マザーレス・ブルックリン』(Motherless Brooklyn)
Motherless Brooklyn (Original Motion Picture Soundtrack)
- アーティスト:Motherless Brooklyn (Original Motion Picture Soundtrac,Motherless Brooklyn (Original Motion Picture Soundtrack),Isaiah J. Thompson,Philip Norris,Joe Farnsworth,Ted Nash,Willie Jones III
- 出版社/メーカー: Watertower Music
- 発売日: 2019/11/22
- メディア: CD
監督エドワード・ノートン、脚本エドワード・ノートン、製作エドワード・ノートン、主演エドワード・ノートン、エドワード・ノートン好きにはたまらない、ノートン節全開のサスペンススリラー映画。イフ!
脚本がそれほど強いとは思わないんだけど、世界観やキャラクターが良いのでグイグイ惹き込まれる。思ってもいない言葉を無意識に発してしまう主人公ライオネルはいかにもノートンが演じそうなキャラクターって感じで面白い。
フィルム・ノワールを意識したという50年代アメリカの渋くて湿っぽい雰囲気もカッコよかった。なんでも、もともと原作では90年代の設定だったところをノートンが変更したらしいけど、うまい改変だと思う。黙ってろノートン!それでいて現代に通ずるテーマを抑えているところが興味深い。
あと、フランク・ミナ役のブルース・ウィリスがイカしてる。出番はあまり多くないけど、なんか久々にああいう演技を見た感じがして嬉しかった。フランク!フランクリー!フランコ!
もうちょっと短くできたんじゃないかなとは思いつつも、雰囲気やキャストなどひっくるめて、個人的にはかなり好みの映画だった。ジャズ調のテーマも好き。
評価:7/10
『パラサイト 半地下の家族』
韓国映画はふだんあまり見る機会がないんだけど、この映画は前評判が高かったので期待していた。
基本的には楽しいブラック・コメディなんだけど、時折ぞっとするような展開を挟んでくる。ホラーとコメディの緩急の差がえげつなくて、塩梅がすごく絶妙。
面白おかしいストーリーの根底には一貫して経済格差という社会問題が見え隠れしており、けっしてそれを忘れさせることはない。もはや笑いながら見ていていいものかどうかさえよくわからない。
怖いのに笑える、笑えるけど怖いというものすごく独特でユニークな作品だった。見られて良かったし、いろんな人に見てもらいたいとも思う。
ついでに『スノーピアサー』も見てね。
評価:7/10
『ジョジョ・ラビット』(Jojo Rabbit)
『マイティ・ソー バトルロイヤル』のタイカ・ワイティティ監督によるコメディ映画。残念ながらシュトロハイム少佐は出てこない。
空想のヒトラーを心の支えにしながら兵士を目指すナチスかぶれの少年ジョジョが、ユダヤ人の少女と出会ったことで少しずつ変わっていく。
ユーモラスな描写の中で辛い現実を描くという点では『パラサイト』と通じるところがあるものの、こちらはすごく前向きで明るくなれる映画。
もともと『ソー バトルロイヤル』がギャグ極振りの映画だったので今作もコメディ要素は期待どおりの面白さだったんだけど、ヒューマンドラマとしても非常によくできた作品だった。スカーレット・ヨハンソン演じる母親とジョジョの交流がすごく愛情に溢れていて、終盤はウルッとさせられる。
ユダヤ少女エルサも可愛くて魅力的だったし、サム・ロックウェルとシオン・グレイジョイが演じるナチス軍人コンビも面白かった。アルフィー・アレンあんな感じの役ばっかりだな。
オススメです。
評価:8/10
『劇場版 ハイスクール・フリート』
ドンピシャーーー!!!
世界中から愛される名作アニメ『ハイスクール・フリート』が待望の映画化。
最初は正直アニメの延長線程度にしか考えていなかったんだけど、想像以上に熱くてカッコいい映画に仕上がっていたのでびっくりした。
まさしくファンの求めているものをすべて詰め込んだという感じで、前半の可愛くて楽しい日常パートは「ああ、これでこそ『はいふり』だ」ってホッとさせられたし、そこから突然戦闘パートへ突入するギャップ感も「ああ、これでこそ『ハイスクール・フリート』だ」って感じでめちゃめちゃ盛り上がった。
多寡はあれどメンバーそれぞれにしっかり出番があるのも嬉しかったし、本編ではほとんど活躍できなかったもえかちゃんにしっかり見せ場を作っていたところも良い。
あと、いままでウイルスというややSFがすぎる存在と戦っていたところから今回テロリストという対人間の構図に変わったのはけっこう重要なポイントだと思っていて、個人的にはこちらのほうが緊迫感を感じられて良かった。まあ終盤の要塞とかなぜか無人だったけど。
2回目見たときには1回目では気付けなかった細かいポイントとかを色々チェックできたりしたのも面白くて、今から3回目見るのが楽しみ。何回も見たくなるのは良い映画の証拠だと思う。
これから見る人はお昼ご飯もぐもぐしてる時の姫路果代子ちゃんに注目してください。
評価:8/10
はいふり一ヶ月はやく公開してれば今年のオスカーの賞レースに乗れたのに(おっと後悔二倍だね!)
— しあ (@123sheer) 2020年1月14日
『ペット・セメタリー』(Pet Sematary)
娘は 生き返っては いけなかった
スティーブン・キングの同名小説の再リメイク作品。
原作は読んでないんだけど、'89年に映画化されたオリジナル版を事前に見てから鑑賞した。
個人的にオリジナル版がかなり良かったので、それと比べちゃうと今作は悪くないけどややインパクトに欠けるかな…という印象。
オリジナル版はもちろん映像技術は大したことないし、終盤の演出なんてちょっと馬鹿馬鹿しく見えちゃう部分もあるんだけど、主人公の葛藤や墓地の持つ神秘性にリアリティーがあって、不安感を煽る演出が上手だった。
そこへいくと今作はネコを生き返らせる動機が弱いなと感じるし、ジャドの過去や義父との確執といった細かい要素がオミットされているため、個々のキャラクター性も薄まってしまっている。
一方で終盤のホラー展開はよりスリリングに演出されていて見応えがあったし、あえて結末を捻ってきたのも面白い工夫だと感じた。
良い点と悪い点を差し引きしても、十分に楽しめるホラー映画に仕上がっていると思う。
どっちにしろパスコーは全然役に立ってねえな。
評価:6/10
『リチャード・ジュエル』(Richard Jewell)
クリント・イーストウッド監督の最新作は、アトランタ五輪でテロから人々を救いながらも一転容疑者にされてしまった男リチャード・ジュエルの戦いを描いた実話。
メディアによるリンチ(私刑)の恐ろしさを描いた作品なのだが、誰にとっても他人事ではないのが恐ろしいところ。
基本的にジュエルが謂れのない容疑で追い詰められていく話なので見てて辛いんだけど、サム・ロックウェル演じる型破りな弁護士ワトソンがめちゃめちゃカッコよくて、彼が出てくるだけで安心感が半端ない。
ジュエルの母親を演じるキャシー・ベイツも圧巻の存在感であり、記者会見のシーンは胸を打たれた。
リチャード・ジュエル自身も品行方正というわけではなく、独特な一面を持っているので不利な状況証拠が次々出てきてしまうんだけど、それに対してワトソンとジュエルが「人と違うこと」について意見をぶつけるシーンがイイ。
社会派なテーマとストーリーの面白さの両方をしっかり兼ね備えた骨太の作品だった。
それにしてもこのところ毎年イーストウッド作品出てる気がするんだけどどんなペースで撮ってるんだ。
評価:7/10
『キャッツ』(Cats)
エキセントリックな世界観で物議を醸した有名ミュージカルの映画化作品。
たしかに説明不足な部分は多いけど、ミュージカルとしては十分に魅力的な作品だった。
音楽は言わずもがな、映像も美しくて見応えがある。
ただ、人を選ぶ映画ではあると思う。そもそもミュージカルってかなり好き嫌いの分かれるジャンルなので、苦手な人にとってはちっとも面白いと思えないかもしれない。
個人的には『レ・ミゼラブル』とかかなり好きだったので、毛色はまったく違うけど(猫だけに)今作はけっこう楽しめた。
ミュージカルが嫌いでなければ、食わず嫌いせずに一度チェックしてみることをオススメします。
舞台のミュージカルって一度でいいから見てみたい。
評価:6/10
この記事あとから読み返してみたけど我ながら意味不明だった
『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(Knives Out)
『LOOPER』『最後のジェダイ』のライアン・ジョンソン監督によるミステリ映画。
007こと名探偵ダニエル・クレイグが有名小説家の死の謎と一族に隠された秘密の解明に挑む。
アガサ・クリスティを意識してるっぽいけど、たしかにそんな感じ。基本ギャグタッチな作風ではあるものの、ミステリ自体はけっこう真面目にやってて楽しかった。
一族のメンバーはみんなクセがあって面白いんだけど、注目はやっぱりクリス・エヴァンス。キャプテン・アメリカのイメージからは程遠い不良っぷりが笑える。
雰囲気は180度真逆だけど、ダニエル・クレイグが女の子と協力しながら一家の謎を暴くって構図が『ドラゴン・タトゥーの女』を思い出した。あっちは複雑すぎてメモ取らないと家族構成覚えられなかったけど。
アップテンポですごく見やすい作品だったので、ミステリが得意じゃない人でもしっかり楽しめると思う。
ぜひ事前情報もネタバレもいっさい無しで見に行ってください。
評価:7/10
1月はフリーパスが使えたのでいつもより本数多めだった。いまのところ全部面白いからすごい。
今月来月あたりはもっとゆっくり見ていきたいと思ってます。
※ 2月に見たいなと思ってる映画
『ハスラーズ』
『1917』
『ミッドサマー』
『野性の呼び声』
『劇場版SHIROBAKO』
『グッドライアー』『黒い司法』とかも気になってるけど、 近くの映画館でやってないので時間的に見られるかは微妙。
そういえば昨日『がっこうぐらし!』の実写映画見たけど予想以上に良い出来で感動した。むしろアニメよりうまくまとめてたと思う。
007シリーズマラソンは最近やや滞り気味なのでもうちょっとペース上げたい。
最近毎週ブログ更新してて偉いね。
(おわり)